NBSの連載小説 第二弾

 

Epilogue2 新しいテナント(2月某日・晴れ)

「以上で重要事項の説明は終わりです」。
防火管理者になった僕
僕は、目の前のお客さまに向かって、故意にいつもより見え見えの営業スマイルを見せた。
長い間空き室となっていた5階の小さいほうの部屋に借り手が付き、今日がその契約日だった。人材派遣会社をはじめるという社長は、「ご丁寧な説明をありがとうございました」と、僕より上手の笑顔を返してくる。
 
「あとひとつ、お願いしなければならないことがあります。我が駅前テナントビルのテナントさんには、すべて共同防火管理協議会に加入していただきます。それから、一人、防火管理者を選任していただく必要があります。防火管理者は、資格が必要で、講習を…」、相手のニヤニヤ笑いは、極限まであからさまになり、僕は思わず噴き出してしまった。


これ、以上説明する必要はなさそうですね。

査察官さん。

防火管理者になった僕


消防署をはじめ、警察や自衛隊を退職した人材を
企業や自治体に派遣する会社を立ち上げたのは、
消防署を定年退職した、笑顔が怖かったあの査察官だった。

我が駅前テナントビルは、これからますます安全なビルになっていくことだろう。

—完—

このコンテンツを防火管理に携わるすべての方に贈ります。

   NBSの連載小説 僕シリーズについて

■このコンテンツは、NBS取引先の不動産会社、防火管理者の方、テナントの方のアドバイスを受けて制作しています。
物語はフィクションであり、より内容の濃い情報を提供するため、防火管理者の活動をデフォルメしています。ご了承ください。