やりきれない事件(NBS)

N081002大阪・難波の個室ビデオ店で、その火災は起きた。 いや、むしろ「起こされた」と言うべきなのかもしれない。 “うなぎの寝床”状の構造、煙もそして人も逃げ場のない個室…。一酸化炭素中毒や気道熱傷などで、15人の尊い命が失われた。 ビデオ店に設置されている消防設備は、消防法上は適法だった。 テレビ局から、消防設備業者としてコメントしてほしいと連絡があったのは、昼過ぎ。 以前から、消防設備は建物を「適法」にするものでなく、「命を守る」ために設置するものであると考えている我々にとって、その重要性をより多くの方に知っていただくことは、業務の次に重要なことである。局に資料などを提供し、撮影に協力した。 報道ステーションで流れたビデオは、さほど長いものではなかったが、火災感知器には、煙と熱があり、煙のほうが早く作動し、早期避難を促すことができること。就寝する部屋には、熱感知器ではなく煙感知器が望ましいということは、伝わったと思う。 今回の事件を受け、個室ビデオ、インターネットカフェなど、就寝できる個室には、煙感知器とすることや、無窓の場合の排煙設備などの設置が厳格化される法改正が、 進むだろう。 しかし、そうした施設が明らかに宿泊に使用されていることがわかっていたにも関わらず、犠牲者がでなければ規制が進まない。そんな、日本の法整備のあり方を、大いに反省すべきだと思うのは、私だけだろうか…。 火災警報器設置が義務化されたが、これもなかなか理解を得るのが難しいのが現状だ。一般の方も「煙の怖さ」を知って、寝室に煙感知器を設置してほしいと願っている。DIYでも手軽に買えるものなのだから。

やりきれない事件(NBS)” に対して4件のコメントがあります。

  1. KEI・M より:

    川崎市内で消防設備士として働く者です。三度目の書き込みです。 報道ステーション拝見いたしました。専門的見地からの的確なコメントであったと思います。しかし、仕事をしてて思いますが、消防法は他の法律に比べても一般的に軽視されてる気がしてなりません。この法律に対する一般の人達の意識が今まで以上に高まれば良いのですが。

  2. NBS より:

    KEI・M様
    いつも書き込んで頂いて、ありがとうございます。
    確かに、消防法改正に関わる浸透はいつもゆっくりです。
    また、消防法そのものが、なかなか理解されないのも同感です。
    そういう意味でも、われわれに出来ることがあれば
    積極的に前に出て行かなくてはなりません。
    そうしなければ、痛ましい事故、事件の不安を消し去ることが出来ません。

  3. 隊長 より:

    NBSさん、こんにちは!
    二度目の書き込みさせていただきます隊長です。
    大阪の放火事件のニュースを見た後、このブログに何か書いてあると思って覗いてみました。
    報道ステーションに出ていたんですね!
    残念なことに仕事中の為見れませんでしたが・・・
    今回の火災で思う事はたくさんあります。
    いつも犠牲者が出なければ行政は動いてくれません。
    事件後、立ち入り検査をあちこちで行ってる様ですが、これも一時的な物で終わってしまうのかもしれません。
    しかしながら、行政を頼らなくても私たち消防設備士にできる事はあると考えます。
    なぜなら、「消防」ということについて行政よりも身近に建物の持ち主や利用者にアドバイスができる立場にあるからです。
    私は、メンテ行った先で不具合を見つけてユーザーに説明する時に「法律で決められているから改修が必要」という説明でなく「火災が発生したら・・・」という説明をします。
    法律だから直さなくてはいけないのではなく、火災から命を守る為に直さなければならないという意識を持って欲しいからです。
    しかしながら、「火災なんて起こらないよ」と返される事もありますが、その時は火災統計の話をします。一年に約6万件、出火原因1位は放火、それでも絶対起こらない保障はありませんよ!って。
    「火事は消防が消してくれるよ」と言われても、消防隊が通報から現着まで平均5~6分、現着後状況確認して放水始めまで2分以上、合計通報から放水まで最低8分、木造家屋なら出火後8分もすれば家全体が炎に包まれ、逃げ遅れた人は既に死亡している時間です!と負けずに説明して、火災は初期段階で鎮圧する事や避難を迅速に行う事の重要性、それらは自分たちでやらなければならなく、その為には消防設備を活用しなければならないと、いつも熱く話してしまいます。
    この間はオフィスビルで屋内消火栓の点検している時に清掃の方が「これ、よく見かけるけど火事の時にどう使うの?」と質問されて説明したんですが、説明に熱が入ってしまい、気がつけばホースを延長してました。
    私の現場での説明が良いか悪いかはさておき、私たち消防設備士は設備のメンテや消防法に伴う設置義務だけでなく、火災そのものや、自衛消防についても知識や技能を高め、それを世間に広めて行く事ができたら、火災による犠牲者を減らす事が出来ると信じております。
    しかしながら、粗悪な消防設備業者がいることもまた事実でして、粗悪なメンテが火災時の危険率を高めてしまいます。私の周りにけっこういます。
    粗悪業者を減らす為にも、世間の防災意識向上に貢献していかなければならないと思ってます。
    生意気にも偉そうに長々書いてすいません。
    防災意識の高いNBSさんに負けないように私も日々努力していきます。
    お互い火災から命を守る為にがんばりましょう!

  4. NBS より:

    隊長様
    いつも書き込んで頂き、
    ありがとうございます。
    私の考えているところを
    すべて書いて頂いているようで・・・。
    業界の発展無くしては、われわれの存在意味もありません。
    強い防災意識と揺るぎない意志を持って、
    がんばりましょう!

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